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【教師の対話】を促す仕組みづくり~研修の改革~(特別支援教育・福島県)

【対談】持舘 康成(教頭) 小林 弘樹(研修主任)
 取材 情報教育部 木谷 俊彦(情報主任)本田 慎一(副主任))



①校内研修の概要

令和5年度は、「児童生徒一人一人の資質・能力の育成のために、ICT機器などを効果的に活用し、個別最適化された学びを目指した授業づくり」を教員研修のテーマとして取り組んできました。
 研修部が主体となりながらも、教務部や情報教育部が潤滑油のような役割を担いつつ、学校全体としての学びのサイクルを構築しながら研修が進められました。


②取り組み

① 単元展開案の作成
 小学部・中学部・高等部の全教師が、それぞれの専門とする各教科等の担当グループに分かれ、授業づくりに向けた研修に取り組むとともに、全員が単元展開案を作成し、授業改善に向けて取り組みました。

② 従来の「事後研」から「授業者支援会議」へ
 これまで行ってきた授業の事後検討会の在り方を刷新し、教師の「対話」や「気付き」を促すことができるように「授業者支援会議」へと移行しました。
・働き方改革の一環として、時間と人的負担の少ない授業研究手法への転換
・授業者支援会議において、授業を改善したいという授業者の意欲にこたえる

 これにより、一人一人の教師が児童生徒の思いを見取り、複数の視点によって授業の質を高めていくことにつながってきました。

③対談【学びの変革によって資質・能力を確実に育成する】


Q「今年度、このように研修を実施するに至った経緯を教えてください。」

小林教諭
 学校としての“一体感”を、研修を通して職員に感じてもらいたいという思いがありました。これまで理解を深めてきた学習指導要領の目指す姿に向かって、指導に必要な手立てを検討し、子どもたちをどう支援していくのか、その過程に重きを置いた研修にしたいと考えました。

持舘教頭
 教師は職人気質なのだが、単なる「ワーカー(worker)」ではなく、「チームワーカー(team worker)」です。教師の最も重要な仕事である「授業」。その授業づくりの研修を核として、正解のない、今の時代を生き抜く子どもたちを、チームでどのように支え、困り感をどのように解決に導いていくのかといった視点で、教師の対話を充実させる仕組みを作りたかったと考えます。


Q「教師の対話を促す研修への期待はありますか?」

小林教諭
 まだ経験の浅い先生は、ベテラン教師の“まね”をすることからで構わないので、対話を通してアイデアを取り入れ、どんどん実践してほしいと考えました。
 同じ授業内容であっても、指導する教師によって授業の質は変わります。 “良い授業をする”と言われる先生が対話を通じて悩む姿や、授業の中での「この場面でねらいに迫りたい。」と苦心する姿、目指す学びに向け、授業の中で丁寧に子どもたちにかかわる姿に、若い先生方が気付いてくれたら嬉しいと考えました。
 経験豊富な先生についても、指導についての不易 (文字の読み書きなど学習の基盤となる内容) の部分と流行(現代的な諸課題等への対応など)の部分が繋がっていくような学びについて、若い先生との対話を通して新たな考えに触れ、教育観をアップデートしていってほしいと考えました。

持舘教頭
 今は「Well-being(ウェルビーイング)」の時代。だからこそ、教職員についても自分たちの職務を本当の意味で楽しめるようになってほしいと考えています。
 研修は、子どもたちの自己実現を支える、そのための指導の充実を図るという視点はもちろんですが、それに加えて先生方が授業することを楽しむことや、次時の課題を明確にしこれからの努力の方向性がわかるような「気持ちの良い失敗」ができる、そんな校内体制を整えていくことで、教師一人一人が「この学校で何をやりたいのか。」「これからどうなりたいのか。」といったそれぞれの自己実現に向けて、やりがいをもって働くことができる、そんな学校になれたらと考えています。


Q「今年度も終盤に近づいていますが、研修を通して感じる変化はありますか?」

小林教諭
 昨年12月に実施した本校研修に関する教職員アンケートの結果から、「育成すべき資質・能力が明確になった。」「授業者支援会議を通して、授業づくりを校内でサポートする体制ができつつある。」といった意見が多数見受けられました。単元展開案の作成を通して、子どもたちに何を身につけてもらいたいかを明らかにし、それを複数の視点で検討していくという本校教師の授業づくりへの考え方や校内の支援体制が充実してきたと考えます。
 また、研修を通した対話をきっかけに、風通しの良い校内の雰囲気にも少しずつつながってきていると感じます。

持舘教頭
 授業者支援会議の仕組みを学年会などに取り入れて、子どもたちとの日々のかかわりや、授業の進め方など、教師の悩みに対して、複数の教師からアイデアをもらうような姿も見られるようになりました。
 子どもたち一人一人の自己実現に向かって、あるいは教師自身が目指している姿に向けて「知りたい」、「教えてほしい」と支援を求められる関係性が構築され、“教師が主体的に学ぼうとする雰囲気“ができつつあると感じます。
 教師が一人で頑張るのではなく、同僚の教師同士がつながり、支え合うことが当たり前の雰囲気となり、子どもたちを支援していく・・
 そんな校内体制が、新しい学校の文化のようになっていくとよいと考えます。

④情報教育部より

 学校の情報を管理・運用する役割として、学校の在り方の変革や教育のDX化推進に向けて日々取り組んでいます。また、校内の各部が連携を図った先進的な情報モラル教育にも取り組んでいるところです。
 今後も、学校の在り方の改革、学びの変革に向けた取り組みについて、取材・掲載していきます。
(情報教育部:木谷、本田)


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